自分は自分。ありのままで。
森絵都さんの「できない相談」を読みました。
淡々と語られるたくさんの人のNO!そこには合理的な判断とは無縁のその人らしいこだわりが詰まっていました。
こういうの好きだなあ。
そういう人がいてもいいよね、いろんな人がいるよね、と思う。旦那さんと奥さんのやり取りで始まり、終わるのも良い。どちらも奥さんの方が一枚上手感なのも。
今心に残っている3つの話について少々感想を。
1.コンビニの話
都心のビルの一階にあるコンビニに入ってきた世話焼きおばちゃん系店員。世話焼きが煩わしいと思う世代は利用しなくなり、おばちゃんは白髪世代の新たな顧客をゲットする。
おばちゃんが世話を焼くことを止めることもできないし、主人公の会社員が世話焼き店員を受け入れることもできない。それでも世界は成り立って進んでいくのである。できないことはできないでいい。
2.バリウムの話
私自身昨年初めてバリウムに挑戦した。
初めての検査にガチガチに固まっている私にまあ検査技師のおっちゃんのしゃかりきなこと。
主人公と同じくチビチビバリウムを飲んでた私。飛んできたのは、「チビチビ飲んでたらまずいんやけん、飲めんくなるで」「食道の写真が映らんけん、もっとグビグビ飲んで」と注文の嵐。
半年前のいやに心に残った検査を思い出しました。
3.温泉旅行の話
こないだ行ったばかりだからか、気になった。家族旅行の定番の流れ、最後には剣呑な雰囲気になるのが面白い。もっと面白いのは、絶対次は行かんとか言いながら、その日の晩には「次は湯布院行こか」って言ってるお父さんの背中よ。
そういうもんよね、家族って。どんだけ喧嘩してても、いつのまにか戻ってる。そんな結びつき。
柔らかい心で、ガチガチにならずに明日からも頑張ろう。
森絵都さん、次は「ショート・トリップ」読みますね。
2020/01/11
耳がジーンとなるくらい静かな夜に