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読書記録を中心に日々の生活で考えたこと、思ったことを書き留めていこうと思います。

ゆるく確実に、繋がる

ほっと一息つけて、温かくなるような本を探していた。ほとんど直感で選んだのが、近藤史恵さんの「ときどき旅に出るカフェ」。

近藤史恵さんの本を読むのは「ヴァン・ショーをあなたに」以来。美味しい料理の描写と、一話完結のさっぱりとしたエピソードが記憶に残っている。

ときどき旅に出るカフェ (双葉文庫)

ときどき旅に出るカフェ (双葉文庫)

 

思った通り、ほっと一息つける本だった。

タイトルの通り、カフェのような本だった。

よし、学ぶぞーって思って気合を入れて読む本も好きだ。新しいことを知っていくのにドキドキしたり、はあそういうことかと発見したり、知的好奇心がぐんぐん育っていく。

でもこの本は違う。気合いを入れなくていい。ご飯じゃない。主食じゃない。カフェでリラックスして飲むとっておきのコーヒーのような、小さくて可愛いケーキのような、そんな感じ。

読み終わると気持ちよくなった。

 

記憶に残ったのは、美味しそうな飲み物とカレー。鴛鴦茶が特に印象深い。コーヒーと紅茶のブレンド。コーヒー紅茶牛乳!!鴛鴦は「おしどり」。コーヒーと紅茶がおしどりだなんて飲んでみないと見当もつかない。「ためさずに怖がらないで。やってみないとわからないのだから」そんな言葉をこのお茶とともに掛けられるセンスの良さよ。それだけで、頑張ろうと思える。

 

 

それと、同じく買ったのが、垣谷美雨「あなたのゼイ肉、落とします」。楽天ブックスの「この本を買ったあなたにおすすめ」で出てきた一冊。買ってみて納得。同じ出版社で同じ月に出版されていた。おすすめ機能、案外安易だなあ。でもまんまと購入。

あなたのゼイ肉、落とします (双葉文庫)

あなたのゼイ肉、落とします (双葉文庫)

 

こちらもサラッと読めて読了感が良い。

ダイエットの達人、大庭小萬里。思い出したのは柚木あさこさんの「ランチのアッコちゃん」。何でだか分からないけど、アッコちゃんのストーリーも朧げだけれど、アッコ女史と小萬里さんがシンクロした。

ランチのアッコちゃん (双葉文庫)

ランチのアッコちゃん (双葉文庫)

 

小萬里さんの本質を瞬時に見抜いた判断が何とも言えない。美人で通ってきた49歳の女性にブスとして生きる覚悟を持てと言ったと思えば、18歳の元華族のお嬢様の言う将来が真っ暗なんて笑止千万とばかりに、パティシエの夢への示唆を与える。中でも10歳の男の子に豚汁を教える話は考えさせられる。大人との繋がりが希薄で、疲れ切った母親に遠慮して、カップ麺やお菓子を晩御飯にしていたがために太ってしまった彼と隣の中学生の女の子。2人を義姉弟として、2人が健康に生きていくために奮闘する小萬里さんはどう見てもおせっかい。だけど、温かい。「つまらない意地などお捨てなさい」そう、母親に言う小萬里さんはきつい。けれど温かい。何が大切か分かっている人だ。

夢とか、希望とか、人の繋がりとか、大切なものはたくさんある。けれどもそれは全部「今」と陸続きだ。「今」を大切に生きることで、自分を大切にし、明日へつながる。何だか、毎日をちゃんと生きようと思えた。


文庫本の良さは気軽に読めて心が軽くなるところだと思う。まるでそれは温かいカフェのようだし、心のゼイ肉を落とすダイエットのようでもあると思う。この2冊のように。

今日もまた文庫本で一息つきながら、難しい本も読もうと意気込みながら、結局育児と家事をして寝るのだろう。そんな風に、私はゆるく確実に、本と繋がっている。

 

2019/12/18

娘と夫の入浴中に

 

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