世界を感じ、今いる場所を感じる
税所篤快氏の「『最高の授業』を世界の果てまで届けよう」を読んだ。
きっかけは、藤原和博氏の「本を読む人だけが手にするもの」で紹介されていたこと。
とりあえず気になったものを読んでいこうと思って、目に留まったのがこの一冊だった。
私が教育に携わっていること、そして「世界」が気になっていることが一因だろう。
東進衛星予備校のカリスマ講師の授業をDVDで受講するスタイルを真似し、E-エデュケーションを展開していく。最初はバングラデシュから、そしてパレスチナ難民キャンプ、大虐殺が起こったルワンダ、封鎖都市ガザ、ハンガリーのジプシーとどんどんとその輪を広げていく。失敗もたくさんあったろうし、悩んだこともたくさんあったろうが、悩みながらもどんどん世界規模で問題を解決していく様を読むことができ、おもしろかった。一気に読んだ。
税所氏のすごさは、何度失敗しても辞めないメンタル力、人脈の広さ、やろうと思ったことをすぐにやるフットワークの軽さだと思う。
まず一橋大学の教授やら、藤原和博氏やら、なんだか私だったら縁がないような人と繋がりを持っているのがすごい。いや、最初から繋がりがあったのではないことは分かっている。繋がる努力をし、行動したのだと分かっている。でもそれだけでもすごいなあと思ってしまう。周りの人に相談することで的確にアドバイスをもらい、そのアドバイスをうまく自分の糧にして即対応している。これだけ動けることが最大の武器なのだなあと思う。しっかり自分の芯を持ち、即動けるってかっこいい。
またE-エデュケーション自体がどんどん進化しているのも面白い。最初は大学合格させることを目的に高校生を対象としていたのが、学習障害をもつ児童への関わり方を教えることを目的に教師を対象に、タイピングの獲得のために女性を対象にと、どんどん幅が広がっていく。対象とする地域を増やしていくだけでなく、対象とする人(高校生、教師、女性)も増やしていく。「映像で学ぶ」という手法で、さまざまな教育課題を解決しているのがかっこいい。
「10年後の仕事図鑑」を読んでも思ったが、これからは世界の時代なのだろうか。夕方のニュースだって中国やらアメリカやらのちょっとしたハプニングニュースが流れてくる。アメリカの美容室にシカが入ってきたなんてニュースどうでもええやん、とも思うし、こんなことをニュースで言う日本、平和だなあとも思う。それに、ちょっとお金を貯めれば、すぐに海外に行ける。私だって、韓国、フランス、ドイツ、イタリア、タイ、アメリカ(ハワイ、グアム)、台湾と気づけば7カ国ほど行っている。行って何をしていたかといえばただ楽しんでいただけだが。世界はきっと昔より身近になったのだと思う。
ただ、私がこれから何かしたいかと言えば、世界に目を向けるのと同じように、自分が住んでいる田舎に目を向けたい。
結婚もしたし、子どももいるし、地理的に縛られているから感じるのかもしれないが、東京や世界に憧れがある反面、今いる場所で何かできることはないのかと考えてしまう。本当はやりたいことがあればどこにでも行って挑戦すればいいのかもしれない。でも、例えば地元の伝統工芸品を受け継いでいったり、地元の観光地の整備をしたり、そういう昔からあるものをよりよい形で世界に発信していくことってかっこいいのではないかと思う。
どこで読んだか忘れたが、これからの観光は現地でしか体験できないコトがミソになるらしい。現地でしか体験できない風景、イベント、ワークショップ、そんなものをたくさん提供するために、地元の良いものを良い形で残していき、地域の活性化を図るって楽しそうだ。
とりあえず、来月の伝統工芸品のワークショップに予約してみた。とても楽しみだ。
深夜、暖房を切って底冷えするリビングにて2019/11/28